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Lee-Byung-hun addicted

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君は僕の運命 第6話

君は僕の運命 第6話

自宅療養に切り替えた揺は逗子の家でパソコンを覗いていた。
プレミア試写会の画像がネットで流れている。
「もう・・・なんて顔してるの。ビョンホンssi」
画面に映る彼の顔は表情が冴えない上とても疲れているようだった。
「私のせいよね。ごめん・・・・」
彼は帰ってからも毎日欠かさず電話をかけてきた。
元気な声で「ちゃんとご飯食べてるか」と揺に訊ねる。
「食べてるわよ」と答える揺に
「うそつき。ちゃんと食わなくてそれ以上胸が小さくなったら別れてやる」
ビョンホンは笑いながらそういった。
「あなたこそ・・ちゃんと食事してるの。こんなことなら下落合にいればよかった。もしかしたら彼に会えたかもしれないのに・・」揺は大きなため息をついた。


「ビョンホンさん、これ食べてみてくださいよ。美味しいから」
彼に差し出されたのは大きな丸いコロッケだった。
プレミア試写会のあと、ビョンホンは以前仕事を一緒にしたスタッフと共に遅い夕食をとっていた。
「あ・・ええ。いただきます。」
夕方から緊張していることもありなにも食べていなかったビョンホンは勧められたコロッケを口にした。
「美味しい・・・」
そのコロッケはちょっと肉じゃがのように甘くしっとりとした味付けだった。
前に揺が肉じゃがつくってくれたっけ・・・ビョンホンはコロッケを食べながら彼女を思い出していた。甘辛いしょうゆ味が好きな彼に揺はよく煮物を作ってくれた。
この日口にしたコロッケはそんな彼女を思い出させる優しい味がした。
昨夜もスケジュールがびっしりで会いにいけなかった。
今は体調がすぐれないこともあって彼女は逗子に帰っている。
下落合ならともかく夜ちょっと抜け出して会いに行くには逗子は遠すぎた。
「本当に美味しいです。」
ビョンホンはつぶやきながら揺に食べさせたいと思った。
これなら今のあいつだって美味しく食べられるんじゃないだろうか・・・

翌日の朝、彼はいつもと変わらず元気な声で揺に電話をかけた。
「揺、おはよう。ちゃんとご飯食べた?」
「全然。ちゃんと食べてない。お腹すかないんだもん。この調子じゃあなたに捨てられる日も近いわね。」
「おい、どうしたんだよ。」
「どうしもしないわよ。本当のことを言っただけ。今日は記者会見でしょ。もうちょっとまともな顔で仕事しなさいよ。もう今日はお説教してあげるから仕事終わったら下落合まで来て。何時でもいいから。じゃあね。」
揺は一方的にまくし立てて電話を切った。
受話器を持ったままあっけにとられたビョンホンは苦笑いを浮かべた。
「俺・・そんなひどい顔してたのかな・・」
自分の頬を撫でてみる。
まあ、おかげで揺に会えるわけだし。
お土産は・・・そうだコロッケにしよう。
怒ってふてくされた揺の声を聞いて不思議とどんよりとした気持ちが少し軽くなった気がしたビョンホンは彼女のコロッケをほおばる顔を思い浮かべて微笑んだ。

「こんばんは~」
コロッケの入った紙袋を片手に玄関の扉を開けるとそこにはにこやかに微笑む幸太郎が待っていた。
「お父さん、いらしてたんですか?」
「お姫様の運転手兼付き人だからね。お姫様の今後は君に掛かってるからしっかり頑張って。私たちのことは気にしなくていいから思う存分。」
ビョンホンが照れ笑いしながら居間を覗き込むとトメと不二子と綾が何かを持ってにこやかに手を振っている。
ビョンホンが引きつった顔で手を振り返すとみんな嬉しそうに微笑んで手に持っていたものを耳に詰めた。苦笑いをしているビョンホンの背中を幸太郎が押した。
「ほら、姫がお待ちかねだぞ。早く行った行った」


ビョンホンが揺の部屋のドアをそっと開けると彼女はソファに座ってテレビに向かっている。
画面に映し出されているのは「甘い人生」
ビョンホンは背後からそっと彼女に近づいて耳元でささやいた。
「何してるの?」
「ん?あなたがなかなか来ないからソヌと浮気してた。」
揺は画面から目を離すことなく淡々とそう答えた。
彼女の手元にはいつものワイングラスではなくマグカップに入ったゆず茶があった。
そんなことから彼女の体調がやはり以前とは違うのだということを感じる。
「あんな奴のどこがいいんだよ。」
ビョンホンは揺の隣に腰掛けながらそういうとリモコンのスイッチをOFFにした。
「あ・・・いいところだったのに」
揺の尖らせた口に彼はそっとキスをした。
「浮気はダメだって言っただろ。」
「本当は同一人物の癖に。生意気なんだから。・・」
揺はそういってクスッと笑った。
「どう・・具合は」ビョンホンは彼女の髪をなでながら訊ねた。
「だから悪いって言ったでしょ。・・・ねぇ、ビョンホンssi・・・」
「ん?」
「私ね。気がついたのよ。きっとあなたとHしたら元気になるんじゃないかしら。」
「え?」
「だってね。あれからずっと・・・してないでしょ?だからきっと元気が出ないんじゃないかと思って。あなたと愛し合ったらきっとお腹もすくような気がするの。ねぇ、しようよ。」
揺はそういうと彼の首に手をかけた。
「揺・・・お前大丈夫なのか。そんな辛そうなのに」
予想もしなかった揺の言葉に彼は驚いて訊ねた。
「うん。大丈夫。それとこれとは別よ。それにね。退院する時、晋さんに言われたの。食べたいものがあったらあいつでもなんでも良いから腹いっぱい食っていいぞって。だから主治医公認よ・・・・でもあなたがこんな痩せちゃった女抱けないっていうなら別だけど・・」
揺はそういうと思い切り寂しそうに後ろを向いた。
「揺・・・バカだな。そんなわけないだろ。」
「へへへ・・でしょ?そうだと思った。じゃあ、しよう!」
揺はにっこり笑ってそういうと彼に身体を預けた。
ビョンホンは彼女を愛しながら辛くて胸が張り裂けそうだった。
それでなくても華奢な揺の体はこの半月の間にさらに細くなっていてちょっと力を入れたら折れてしまいそうなほどだった。
手にちょうど収まるほどの可愛い胸ももっと小さくなっていて形のいい大好きなお尻も驚くほど薄くなっていた。
こんな華奢な弱々しい身体なのに・・・体調だっていいはずはないのに。
腕の中の彼女は彼を喜ばせるために一生懸命だった・・・彼女の気持ちが彼女の唇から痛いほど伝わってくる。
揺・・・・ここへ俺を呼んだのは俺のためなんだろ。
ビョンホンは彼女を愛しながら胸の中でそうつぶやいた。



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